職場の教養|ふくの日
ふくの日
二月九日は語呂合わせから「ふく(ふぐ)の日」とされています。
ふぐと日本人の関わりは古く、縄文時代の遺跡からもふぐの骨が見つかっており、昔から食用にされていたことがわかっています。
しかし、猛毒を持つため、食べることが禁じられていた時代もありました。
一五九八年の文禄・慶長の役(えき)の際、九州に集結した大勢の武士がふぐを食べて亡くなりました。
そこで豊臣秀吉は「河豚食禁止令」を発令しました。
明治時代に入り、下関でふぐを食べた伊藤博文がその味に感動し、山口県に禁止令の解除を働きかけ、ふぐ食文化は全国に広がっていきました。
ちなみに、関西ではふぐは「てっぽう」、ふぐ刺しは「てっさ」、ふぐちり鍋を「てっちり」と呼びます。
これは「ふぐも鉄砲もあたると命を落とす」ことから、「てっぽうの刺身」と「てっぽうのちり鍋」が語源となっています。
歴史や語源を紐解くことで、その物への愛情が深まるはずです。
身近な物を調べ、その物に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。今日の心がけ◆物事を探求しましょう
職場の教養 2025年2月号
感想例①
日本人の知恵と挑戦心に感動しました。
危険なものを、工夫と経験を重ねて安全な食文化へと昇華させた先人たちのすごさを実感します。
「てっぽう」という呼び方の由来を知り、言葉の中に危険性への戒めを込めた先人の知恵に感心しました。
食文化の歴史を知ることで、何気なく食べているものへの感謝の気持ちが深まる気がします。
日常生活でも、物事の歴史や由来を知ることで、新しい発見や学びがあるのだと気づかされました。
感想例②
豊臣秀吉の禁止令が出されるほどに犠牲者が出ていた歴史を知り、改めてふぐに対して恐ろしさを感じました。
現代でも、素人の調理による事故のニュースを時々耳にしますが、この歴史を知れば、もっと慎重になれたはずです。
「物への愛情が深まる」という結論は少し安易で、むしろ人命の重さについて考えさせられました。
伊藤博文の一存で解禁されたことも、今の時代なら批判されそうな判断だと感じます。
歴史を振り返ると、人間の欲望vs危険との戦いの連続だったことが分かる話でした。
感想例③
実は私も、好奇心から危険なことに挑戦してしまう性格なので、他人事とは思えません。
人類は火や毒キノコなど、危険なものを扱う術を学びながら進化してきたのかもしれませんね。
「てっぽう」という言葉に込められた警告は、今でいう危険マークのような役割だったのでしょうか。
縄文時代から続く食文化を考えると、未来の人類は、今よりもっと危険な食材を美味しく食べているのかも?と思うと、少しだけ羨ましいです。
歴史は繰り返すというけれど、これからも新しい挑戦と失敗を重ねながら、人類は進化し続けるのだろうと感じました。