職場の教養|監督からの一言
監督からの一言
五十代のA氏は、中学、高校、大学と学生時代を通じて野球に打ち込んでいました。
毎年、日本のプロ野球やアメリカのメジャーリーグの開幕を心待ちにし、「今シーズンはどんなドラマが展開されるのだろう」と胸を躍らせています。
選手としてプレーしなくなってから三十年以上経過しましたが、A氏には今でも忘れられない言葉があります。
それは、中学時代の野球部の監督の一言です。
当時、主将を務めていたA氏が公式戦で敗戦濃厚な状況にあったとき、〈今日は負けだな〉と諦めかけていました。
すると、監督が厳しい表情で「試合は終っていないぞ。お前が諦めてどうするんだ」と叱咤激励したのです。
結局、試合には敗れましたが、悔しがる仲間に寄り添い励ましていると、監督から「今回の経験を無駄にするなよ」と諭されたのでした。
現在、会社内で中堅となったA氏は、仕事で苦境に立たされると、監督の言葉を思い出し奮起しています。
人生の大きな勝利に向けて、職場人としてのA氏のプレーと挑戦に終わりはないのです。
今日の心がけ◆逆境を前向きに乗り越えましょう
職場の教養 2025年3月号
感想例①
この話を読んで、困難な状況でも諦めずに挑戦し続ける姿勢の大切さを改めて感じました。
A氏が中学時代の監督の言葉を今でも大切にしているように、学生時代や若いときに心に残った言葉が、後の人生を支えてくれることは少なくないと思います。
「試合は終っていないぞ」という監督の言葉には、単なる励ましを超えた深い愛情が感じられますよね。
私は、高校時代のテニス部の顧問が言ってくれた「練習でできないことは試合でもできない。でも、練習でできることなら必ず試合でもできる」っていう言葉をたまに思い出すんです。
仕事に置き換えると、日々の準備や地道な努力を疎かにしないってことかなと思っています。
まだまだ私にはそんな言葉を発することはできないのですが、これからも一歩一歩前に進んでいきたいなと思います。
感想例②
監督の言葉を胸に刻み、仕事でも諦めずに挑戦している姿勢には共感できますが、時には「諦める勇気」も必要なのではないかと考えさせられました。
もちろん、簡単に投げ出すのはよくありませんが、すべての状況で「諦めるな」という考え方を貫くのは、現実的ではないかもしれません。
例えば、仕事で明らかに無理なスケジュールや目標を押しつけられたとき、「最後までやり抜く」ことにこだわるあまり、自分や周囲を疲弊させてしまうこともあります。
いつまでも頑張り続けることが美徳とされる風潮って、ちょっと息苦しくないですか?
また、「経験を無駄にするな」と言われても、すべての失敗から学びを得られるとは限りません。
むしろ、失敗を引きずるより、一度区切りをつけて切り替えることのほうが大切な場面もあるでしょう。
たまには「諦める勇気」や「効率的な撤退」を評価する文化があってもいいのかな、なんて思います。
感想例③
この話を読んでいて、ふと「人って意外と負けた時の記憶の方が、強く心に残るのかな」って感じました。
私の場合、高校の文化祭の劇で失敗した時のことが鮮明に残ってるんです。
でも、その時に顧問の先生が「失敗は君の個性だ。それを肥やしにできる人は強いよ」って言ってくれて。今でもプレゼンとかで緊張する度に、この言葉を思い出します。
きっとA氏も、あの負けた試合があったからこそ、今の仕事でも踏ん張れる強さを身につけたんじゃないかな。
勝った試合の思い出よりも、負けた試合や失敗での思い出の方が、人生の糧になってるってところが面白いなと思います。
その時は挫折だと思えることでも、振り返ってみると、実は自分を成長させてくれたことだったりしますよね。
そう考えると、仕事でも「この案件はダメでも、次のチャンスがある」と思うことができるし、どんな場面でも可能性を信じて動き続けることが大事なのだと感じます。