職場の教養|尊重する心
尊重する心
現在、日本の人口の約三割は高齢者です。
その中で、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が社会問題として取り上げられています。
そして、その中の三割以上は要介護者と介護者の年齢が共に七十五歳以上の後期高齢者同士となっています。
互いが不安を抱えながら、生活しているのです。
このような不安な生活が続くと、悲観的になりやすく、互いに責め合う喧嘩にもつながりやすくなります。
だからこそ「日常の小さな喜びに目を向ける」「共通の趣味を見つける」など、互いが笑顔になれる明るい話題作りを心がけることが大切なのです。
また、互いに感謝の気持ちを伝え合い、相手を尊重する心を育むことは、不安を和らげ、双方にとって良い環境を作ることにつながります。
相手の世話をする介護は大変なものです。
しかし、私たちは誰もが、将来介護を受ける側になる可能性があります。
そのことを理解し、縁あって今があることに感謝したいものです。今日の心がけ◆感謝を伝え合いましょう
職場の教養 2025年2月号
感想例①
先日、実家の両親に電話をした時のことを思い出しました。
母は父の血圧を毎日測って記録をつけているそうで、その几帳面さに少しびっくりしてしまいました。
でも、そんな何気ない毎日の営みの中に、「互いを思いやる気持ち」が詰まっているんだなと、この文章を読んでハッとさせられました。
小さいことだけど、毎日続けるのって大変だと思うんですよね。
実は私も最近、腰を痛めて家事が大変だった時期があって、誰かの支えがいかに大切か、身に染みて感じたんです。
年齢に関係なく、「支え合う」って素晴らしいことだけど、特に高齢者同士の場合は、お互いの体調と相談しながら、ゆっくりでも着実に、という心構えが大切なのかもしれませんね。
感想例②
正直なところ、「共通の趣味を見つける」といっても、体力や気力の衰えた高齢者にそれは簡単なことではないでしょう。
「互いが笑顔になれる」というのは理想論であって、現実には精神的にも経済的にも追い詰められている方々が大勢いるはずです。
介護疲れによる悲劇的な事件やニュースも後を絶たない中で、もう少し現実的な提言があってもよかったのではないでしょうか。
独居高齢者が増える中、老老介護の問題は今後さらに深刻化することが予想されます。
介護者の「心の余裕」は、実は経済的・身体的な「基盤の安定」があってこそ生まれるものではないでしょうか。
この問題は個人の努力だけでは解決できない、社会全体で考えるべき課題だと思います。
感想例③
先日、近所のスーパーで見かけたご夫婦の姿が印象に残っています。
杖をつきながら、奥様がゆっくりとカートを押し、ご主人がその横で商品を手に取っていました。
二人で相談しながら、「これ食べたいね」「あれは塩分が多いからダメよ」なんて会話をしている様子に、なんだか心が温かくなりました。
確かに介護は大変なことばかりかもしれませんが、こうして二人三脚で日々の生活を紡いでいく姿には、素敵な物語が隠れているんだなと思います。
私の親は、まだ介護が必要なわけではないですが、段差に気を付けたり、重い物は持つようにしたり、自然とそんな気遣いが増えてきました。
老老介護という言葉からは重たい印象を受けますが、お互いができることを少しずつ補い合って生きていくことを忘れずにいたいです。