職場の教養|自らの経験を語らず
自らの経験を語らず
プロ野球の千葉ロッテマリーンズで監督を務める吉井理人(よしい・まさと)氏は、選手への指導法について「自分の経験を語らないことを意識している」と述べています。
「私自身が選手時代も、監督、コーチ、先輩の経験談の押しつけほど退屈なものはなかった。
できるだけ選手の口から出るように仕向けていく必要がある」として、選手自身に課題を気づかせるための質問を多く投げかけているといいます。
このアプローチはスポーツの世界に限らず重要と言えるでしょう。
職場でも、上司や先輩が自身の経験を基に、部下や後輩を指導することがあるでしょう。
しかし、指導される側からすると、上司や先輩の経験は時代背景や会社の状況が異なるため、理解しにくい場合もあります。
指導する立場の人は、まず部下や後輩と積極的にコミュニケーションを図り、良好な人間関係を築くことが肝要です。
垣根のない関係性の中での会話から、課題の発見や解決につながる質問や言葉が見つかります。
相手が主体的に考え、行動できるよう意識して指導にあたりましょう。今日の心がけ◆コミュニケーションを密にとりましょう
職場の教養 2025年2月号
感想例①
とても共感できる内容でした。
特に印象的だったのは、プロ野球監督という立場の方がここまで謙虚な姿勢を持っているということです。
私も営業チームのリーダーとして、新人に商談の進め方を教えることがありますが、つい「私なら、こうアプローチする」と自分の経験を押しつけがちでした。
でも確かに、自分の経験を押しつけても相手の心には響かないですよね。
先日、新入社員に「この案件、どんなアプローチを考えてる?」と聞いてみたら、SNSを活用した斬新な提案方法を思いついていて、目から鱗が落ちる思いでした。
若手の柔軟な発想を潰さないためにも、この吉井監督の考え方は非常に重要だと感じます。
感想例②
時間に追われる現場で、「気づきを促す質問」なんて悠長なことは言っていられないことも多いはずです。
先日も製造ラインでミスが起きそうになったとき、「どう思う?」なんて悠長なことは言っていられず、即座に「こうしろ!」と指示を出さざるを得ませんでした。
また、新入社員が基本的なこともまだ分からない段階で、「あなたならどうする?」と聞いても、ただ精神的負担になるだけではないかと思います。
むしろベテラン社員の「あの時こうして失敗した」という具体的な体験談の方が、時として効果的な教訓になるのではないでしょうか。
経験者の失敗談や成功例を共有することで、無駄な回り道を防げる場面もあるはずです。
完全に経験談を排除するのではなく、状況に応じてバランスを取る必要があるのではないでしょうか。
感想例③
うちの子どもが宿題をサボりがちなとき、いつも「宿題をやりなさい!」「ゲームばかりしていちゃダメでしょ!」と説教していましたが、逆効果だったかもしれません。
ちょうど先日、この話のように「どうしたら楽しく勉強できると思う?」と問いかけてみたら、「わかんない」と言われて終わってしまって。
経験を語って聞かせるより、子どもの意見を引き出す方が何倍も時間も手間もかかるんですよね。
待つことの難しさ、諦めずに問いかけ続けることの大変さを、身をもって実感しています。
子どもの主体性を育むには、親の方にも相当な根気とエネルギーが必要なので、つい説教で済ませてしまう面もあるかもしれません。
それでも、この方法で子どもと向き合うことはやはり大事だと思いますので、たまには意識していきたいと思います。