職場の教養|恩送り
恩送り
Aさんは間もなく社会人となって一年が経過します。
学生気分もすっかりなくなり、会社の戦力として与えられた業務に日々向き合っています。
入社当初、Aさんの指導担当は二年目のBさんでした。
Aさんの会社では、これまでも入社年の近い先輩が、新入社員の指導担当を務めてきました。
Aさんは、積極的にアドバイスを求めたり、相談をしたりすることが苦手で、仕事が行き詰まってしまうこともありました。
そのような状況の中で、いつもサポートしてくれたのがBさんでした。
Aさんに必要なスキルを教えてくれたり、何度も仕事の相談に乗ってくれたりしました。
Aさんはある日、Bさんに当時の感謝の思いを伝えると「自分も一年前、同じ経験をしたんだ。だから今度は自分が後輩のサポートをするのが自分の役割で、会社にも一番貢献できると思うんだ」と言葉が返ってきました。
Aさんは、Bさんの丁寧な指導に感謝すると共に、自分が指導担当になった時には、同じように丁寧な指導を心がけようと思いました。
今日の心がけ◆後輩をサポートしましょう
職場の教養 2025年3月号
感想例①
この話を読んで、すごく温かい気持ちになりました。
Bさんの言葉には、「自分も同じ経験をしたから、次は後輩を支えたい」という自然な優しさがあって、Aさんもその姿勢に感謝しつつ、ちゃんと受け継いでいこうとしているのがいいなと思いました。
仕事って、一人で頑張るものじゃなくて、こういう積み重ねで成り立っているんだなと改めて感じます。
正直、入社1年目って、何が分からないのかも分からない状態で、相談するのも気が引けることが多いですよね。
でも、Bさんみたいな先輩がいると、聞きやすいし、何より「自分を気にかけてくれてる人がいる」っていう安心感があると、頑張ろうって思えますよね。
自分も○○さんに助けられたことを思い出しました。そのときは「申し訳ないな」と思っていたけど、今考えると、それを次の誰かに返せばいいんだなって思えました。
「困ったらとりあえず聞いていいよ」っていう雰囲気を作れる先輩になりたいなと思います。
感想例②
確かに、「恩送り」って素敵な考え方だし、こうやって支え合いが続いていくのは理想的ですよね。
でも、現実の職場では、Bさんのような「入社2年目の先輩」が指導する仕組みって、けっこう負担が大きいんじゃないかなと思います。
正直、2年目ってまだまだ仕事を覚えるのに必死で、私も含め「自分のことで精一杯」っていう人が多い気がします。
そんな中で「後輩の指導もしなきゃいけない」となると、指導する側の負担がかなり大きいと思います。
会社としても、先輩に頼るだけじゃなくて、ちゃんとした研修を用意するとか、そういうサポートも必要なんじゃないかなと思いました。
それに、Aさんみたいに「相談するのが苦手な人」は、そもそもこういう仕組みだと取り残されがちですよね。
Bさんが積極的に助けてくれたからうまくいったけど、もしBさんみたいな人がいなかったらどうなっていたんだろう? と思うと、ちょっと心配になります。
「恩送り」自体はすごく素敵な考え方だけど、それを「会社の仕組み」として当たり前にしちゃうと、人によって負担の偏りが出てしまうんじゃないかな、と感じました。
感想例③
「恩送りって、案外目に見えない形で広がっているんじゃないかな」と思いました。
例えば、職場で先輩に優しく教えてもらった人は、次に後輩ができたときに自然と同じように接することが多い気がします。逆に、冷たく突き放された経験があると、「自分も苦労したんだから、後輩も自力でやるべきだ」と考えてしまうこともあるかもしれません。
そう思うと、誰かにかけた一言や、ちょっとした振る舞いが、実はその人を通してどんどん広がっていくんじゃないかと思いました。
この話のBさんは、「助けてもらったから、自分も助ける」という流れを自然に受け入れていて、それがすごく素敵だなと感じました。そう考えると、職場の雰囲気って、特定の誰かが作るものじゃなくて、こういう積み重ねで少しずつ形づくられていくのかもしれません。
仕事に限らず、日常の中でも、自分が誰かにしてあげたことが、知らないところで別の誰かに影響を与えているかもしれないということを意識して、行動していきたいと思いました。