職場の教養|春の訪れ
春の訪れ
冬過ぎて 春来るらし 朝日さす 春日の山に 霞たなびく
この歌は、日本最古の和歌集である『万葉集』に収録されている、詠み人知らずの短歌です。
作者が春を感じたという奈良県の春日山に霞が揺れ動く様子が目に見えるようで、味わい深い一首です。
地域の祭りや職場、学校などで開催される行事から春を実感するという人も多いでしょう。
また、緑が増してきた草木や膨らんだ桜のつぼみなど、春の訪れを感じられる風景は自然の中にも多くあるものです。
自宅や職場の花壇、道路の街路樹、植え込みなど、仕事に追われているとつい見落としがちなものに注意を向けてみると、木々や草花から間もなく本番となる春の一端を垣間見ることができるかもしれません。
時間がある時には、古の歌人にならって自然とじっくり向き合ってみることもおすすめです。
四季の巡りを実感できるのみならず、心身ともにリラックスし、仕事への活力を得られることでしょう。
今日の心がけ◆自然と触れ合いましょう
職場の教養 2025年3月号
感想例①
この和歌を読んで、「春の訪れ」をゆっくり感じることの大切さを感じました。
春日山に霞がたなびく光景が、目の前に浮かぶようで、昔の人が自然の変化にどれだけ敏感だったのかが伝わってきます。今の私たちも、意識してみれば、道端の花や空気のやわらかさから、季節の移り変わりを感じ取れるのかもしれません。
ただ、普段は仕事や生活に追われて、そうした小さな変化をつい見落としてしまいます。でも、少し意識を向けるだけでも、気持ちが変わる気がします。
たとえば、朝の通勤中に街路樹を眺めてみるとか、仕事の合間に窓を開けて春の風を感じてみるとか。そんなちょっとしたことで、心に余裕が生まれるかもしれませんね。
また、春は新しいスタートの季節でもあるので、冬の間に縮こまっていた心と体をほぐして、春の光や風を味方にしながら、気持ちも前向きに整えていきたいなと思いました。
感想例②
「春を感じる余裕がある」ということ自体が、もしかしたらすごく贅沢なことなのかもしれません。
「自然の変化に目を向けることでリラックスでき、仕事への活力も得られる」とありますが、実際のところ、そんな余裕がない人も多いのではないでしょうか。
特に春は、新年度のスタートや環境の変化でバタバタしやすい時期で、花や風景を楽しむどころではない、という人も少なくないはずです。
また、「春は心が浮き立つ季節」とよく言われますが、逆にストレスを感じる人もいるのではと思います。気温の変化も激しいし、花粉症の人もすごく多いですよね。春をポジティブに受け取れるかどうかは、人によって違うのかもしれません。
とはいえ、意識的に自然に目を向けることには意味があるのかなとも思います。忙しい日々の中でも、ほんの一瞬でも空を見上げたり、道端の花に目を向けたりするだけで、少し気持ちがほぐれることもあるかもしれません。
そういう小さな余裕を、自分の中で持てるようにしたいなと感じました。
感想例③
この和歌を読んで、春の訪れを「待つ」という感覚について考えさせられました。
昔の人々にとって、季節の変化は今よりずっと大きな出来事だったはずです。
電気も暖房もない時代、冬を乗り越えるのは大変だったでしょうし、春の兆しを見つけたときの喜びは今とは比べものにならないほど大きかったのかもしれません。
今の私たちは、春が来る前からスーパーには春の食材が並び、ニュースでは桜の開花予想が発表され、気づけば春が終わっていたりして笑。
確かに便利にはなりましたが、その分、「春を待つ時間」の楽しみが薄れてしまっているのかもしれません。
春の訪れの喜びって、ただ季節が変わること自体にあるのではなく、「待ち望んでいたものがようやく来た」と感じられることにあるのかもしれませんね。
たまには昔の人になったつもりで、春の訪れをじっくり待ってみる。そんな時間の使い方をしてみるのもいいのかなと思いました。